歯医者さんで行う「歯列矯正」は大人であっても子どもであっても保険適応外となり、自費で高額を支払いますよね。
基本的には医療費控除の対象外となる「歯列矯正」ですが、実は子どもの場合は大人よりも医療費控除の対象になる可能性が高いということをご存知でしょうか?
歯科医院の受付としての勤務経験があり、FPの資格も持つママイルライターが、子どもの歯科矯正の医療費控除申請について分かりやすく解説していきます。
これは実際に、患者さんからもたくさんご質問いただいた内容です!
子どもの歯科矯正を医療費控除申請する際に【絶対に覚えておきたい5つのポイント】
では、以下より詳しくご説明していきます。
歯列矯正(歯科矯正)が医療費控除になるかどうかの基準
その行為が「治療」と判断された場合、基本的には医療費控除の対象になります。
国税庁のホームページにもこのような記載が↓
発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります。
国税庁公式HP「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」より引用
歯並びは、子どもの顎や歯の発達に大きな影響を及ぼすため、「子どもへの歯列矯正は必要な治療」であるという認識が一般的です。
つまり、よほどの理由がない限り子どもの歯列矯正は医療費控除の対象になります。
審美目的の大人の歯列矯正は対象外
日常生活に支障がなく、「見た目が気になるから綺麗にしたい」などの審美目的の大人の歯列矯正の場合は医療費控除の対象外となります。
同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象になりません。
国税庁公式HP「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」より引用
ただし、噛み合わせや歯並びが悪いことによって日常生活に影響を及ぼし、医師によって「治療が必要」と判断された(診断名が付いた)場合は、大人の歯列矯正でも医療費控除の対象となります。
子どもの歯列矯正で医療費控除の対象となる費用は?
歯列矯正にかかるほとんどの費用が医療費控除の対象
歯列矯正の治療方法や費用は、歯医者さんによって様々ですが、子どもが歯列矯正を行う際にかかる「診断費」や「矯正器具の代金」などは当然医療費控除の対象となります。
お子さんの歯列矯正をご検討中の方は、まず歯医者さんで無料の矯正相談を受けてみましょう。
月1回ペースで支払う「矯正器具の調整代」も医療費控除の対象
歯列矯正を始めると、矯正器具と歯列の様子を確認してもらうためにほぼ月1回くらいのペースで歯科医院に通うことになると思います。
その際にかかる「調整代金」も保険適応外となるため、1回につき数千円単位の支払いが発生しますよね。
毎月かかる矯正器具の調整代金も医療費控除の対象となるので、領収証は捨てないように注意しましょう。
医療費控除に領収証の提出は不要ですが、申請時に日にちや金額を入力するのに使用します。
【覚えてお得】付き添いの親の「交通費」も医療費控除の対象
意外と知らない方が多い情報なのがこちら!
基本的には、本人が通院した際にかかる交通費も医療費控除の対象になりますが、子どもの歯科矯正の場合は付き添いの親の交通費も控除対象となりますので、覚えておくと良いですよ!
1人で通院することが難しい子どもや高齢者、要介護者などの場合は付き添いの方の交通費も控除対象になることが多いため、忘れずに申請しましょう。
ただし、控除の対象となるのは公共交通機関を利用した場合のみで、自家用車は対象外となります。
ローンでの支払いも医療費控除の対象
歯列矯正治療は高額のため、「デンタルローン」などを組む方もいますが、ローンで支払った場合にも医療費控除の対象になります。
しかし、医療費控除の対象は「その年の1月1日~12月31日までの間に支払った医療費」という決まりがあるため、分割の場合は支払い時期(年度が変わるなど)によっては2度に渡って申告しなければならない可能性もあります。
また、ローンを組む際の手数料は医療費控除の対象外となりますので、事前にしっかりと調べておきましょう。
子どもの歯列矯正、医療費控除でいくらお得になる?
医療費控除を受ける場合は、「確定申告」によって手続きする必要があります。
医療費控除を活用すると、自己負担した医療費の一部が所得税で戻ってきます。
国税庁のホームページで自動で計算してくれます
対象となる医療費については、もちろん自分で計算することもできますが、国税庁のホームページで自動で計算してくれるため、必要事項の記入だけでOK!
詳しくは国税庁の公式ホームページを参照↓
医療費控除の計算方法は?
医療費控除額の仕組みを知りたい方のために、計算方法も記載しておきますね。
①医療費控除額を求める
②還付される所得税額を求める
歯科治療の場合、【保険金などで補填される金額】はないと考えて良いので、単純に【医療費-10万円】が控除額となりますね。
さらにそこから、戻ってくる所得税額を計算します。
医療費控除の計算方法や税率については、以下記事で詳しく説明しています↓
【例】歯列矯正費+医療費の合計が50万円の場合はいくら還付(払い戻し)される?
ここで分かりやすく、例に挙げて考えてみたいと思います。
- 【家族全員分の1年間の医療費合計】:45万+5万=50万円
- 【戻ってくる所得税額】:(50万-10万円)×20%=80,000円
上記条件の場合の還付(払い戻し)される所得税額は、80,000円となります。
結構な金額が還付されるので、申請しないと勿体ないですよ!
所得税だけでなく【住民税も安く】なります!
医療費控除を申請した場合、所得税だけでなく住民税も安くなるということをご存知でしょうか?
住民税の場合は、所得に関係なく【医療費控除額の10%】という決まりがあるので、計算方法も単純です。
今回の例の場合は、以下のような計算になります。
【減額される住民税】(50万円-10万円)×10%=40,000円
住民税の減額のために追加の手続きをする必要はないので、豆知識程度に覚えておくと良いですよ♪
医療費+子どもの歯列矯正費が合計50万円の場合は【12万円】もお得になる!
つまり、所得600万円の方がこの1年で【医療費+子どもの歯列矯正費に50万円】を支払った場合、【所得税の還付額+住民税の減税で12万円】がお得になるということです。
子どもの歯列矯正費用を医療費控除する際に必要なものは?
確定申告にて、子どもの歯列矯正費用を医療費控除申請する際の必要書類は次のとおりです。
医療費控除の申請方法や対象となる医療費などについての詳細は、以下記事にて詳しくご説明しています↓
子どもの歯列矯正費用は医療費控除申請を忘れずに!
歯並びは見た目だけでなく、顎や骨格の成長に大きく関係するものなので、親御さんとしては、できる限りの矯正治療を受けさせてあげたいですよね。
それでもやはり家計には大ダメージの高額な歯列矯正費…
医療費控除で還付されることを考えると、少しだけでも気持ちが楽になるのではないでしょうか?
万が一、その年に申請し忘れてしまったとしてもご安心ください!
医療費控除は過去5年間なら遡って申請することができますよ♪